小さなことに取り組んでいる間は「大きなこと」を考えなければならない。そうすれば小さなことはことごとくしかるべき方向に進む。

- アルビン・トフラー

ビジョンの概要

ビジョンは開発されるソリューションに関する全体像を説明するもので、利害関係者のニーズ及びこれらのニーズを対処するために提案されたフィーチャーを反映する。ビジョンを用いて、対象となる市場や客層、ユーザーニーズを説明し、これから開発するシステムの文脈上の概観を示す。ビジョンは意欲的に見えたり、あるいは特定の契約上の義務に制限されるかもしれないが、主要な内容はフィーチャーや非機能要求(規則やコンプライアンス標準、設計基準などの要素を含む)である。ビジョンにより、プログラムの目的と境界が明らかになり、それに基づいて新しいユーザーストーリーやほかの内容に関する決定が行われる。

詳細

リーン-アジャイルで短期的な成果物に集中的に取り組むことの利点を疑う人はほとんどいないだろう。責任を負う最後の瞬間まで意思決定を延ばすこと、仕掛かり作業を制限すること、詳細な要求仕様書/今後ずっと使い続けられるアーキテクチャー/テストしていないコード/詳細な長期計画などを避けること、また、迅速な価値の納品を重視することは、効果的なアジャイルチームの特徴である。行動への関心とこだわりに代わるものはない。

しかしながら、大規模プログラムや企業のポートフォリオの世界では、各開発者やテスト担当者が、ソフトウェアが今何をするべきか、それと同時に、将来的に何が容易であり何が容易でないかについて、意思決定を毎日行っていることを我々は認識している。このように、彼らは結局、現在のソリューションの有効性と将来のソリューション開発の経済性の両方に関して意思決定を行う。この目的を達成するための代わりの方法はなく、すべてのチームメンバーに絶えずソリューションビジョンを伝え続けなければならない。なぜならば、ソリューションビジョンはチームメンバーの作業理由であり、作業内容であるからである。プログラムの目的と目標に関する共通認識に達するには、このビジョンを絶えず発展し、維持し、すべてのチームメンバーに伝えることが大事である。常に変化する市場のニーズとビジネスの駆動力によって、これらの理想が進化する場合は特にそうである。

ビジョンへのインプット

SAFeでは、プロダクト管理がビジョンに関する責任を負う。彼らだけがすべてのインプットを総括したり、全体的な凝集性のあるビジョンに統合したり、ビジョンを プログラムバックログ内のWSJFによる優先順位が付けられたフィーチャーに変換したり、フィーチャーの提供に関するロードマップを計画する権限を持つ。図1に、これらのインプットの主要な源を示す。

Figure 1. Sources of Vision Input

図1. ビジョンへのインプット

ビジョンの表現

参考資料[1]と[2]では、軽量なドキュメントベースのビジョンを表現するフォームをいくつか紹介した。これらのフォームを用いて、プロダクト管理はこの重要な情報を捉え、維持し、伝達できる。SAFeのリリース計画策定はリズムに基づくフェースツーフェースで行うため、ビジョン文書はローリングウェーブビジョン概要説明によって補足される(場合によって代替される)。ローリングウェーブビジョン概要説明によって、チームに短期的またより長期的なソリューションビジョンを定期的に示す。

このセッションでは、ビジネス責任者は強み、弱み、機会、および脅威(SWOT)を含む現在のビジネス背景を説明する。次に、プロダクト管理者はこれからの1つ(あるいは2つ)のプログラムインクリメントの目標を明示し、同時にプログラムバックログにある「トップ10のフィーチャー」を示す。さらに、システムアーキテクトはアーキテクチャーに関するロードマップを説明し、現在と将来のアーキテクチャーフィーチャーが次に来る計画策定プロセスに組み込まれるようにする。これらを踏まえて、チームは、プログラムビジョンに足並みをそろえることを把握しながら、次のプログラムインクリメントのための計画を確立する作業へと進む。


さらに知りたい場合

[1] Leffingwell, Dean. Agile Software Requirements: Lean Requirements Practices for Teams, Programs, and the Enterprise. Addison-Wesley, 2011.(邦訳:Dean Leffingwell、アジャイルソフトウェア要求:チーム、プログラム、企業のためのリーンな要求プラクティス、翔泳社、2014)

[2] Leffingwell, Dean. Scaling Software Agility: Best Practices for Large Enterprises. Addison-Wesley, 2007.(邦訳:アジャイル開発の本質とスケールアップ 変化に強い大規模開発を成功させる14のベストプラクティス、翔泳社、2010)

Last update 19 July, 2014

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