山に登らなければ、平原を見ることができない。

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ポートフォリオレベルの概要

SAFeの最も上のレベルはポートフォリオレベルであり、ここでプログラムは価値のストリームの線に沿ってエンタープライズビジネス戦略との整合がはかられる。大企業では、複数のプログラムポートフォリオ(適用したSAFeのインスタンスごとに1つ)があり、それぞれに戦略と資金とPPM受託者が決まっていることもある。ポートフォリオレベルには、次のような主要構成要素がある。

  • ポートフォリオビジョン: これには以下が含まれる。
  • 戦略テーマ
  • 価値のストリーム
  • 予算
  • エピック
  • ポートフォリオバックログ
  • カンバンシステム
  • エピックオーナー
  • エンタープライズアーキテクト
  • プログラムポートフォリオ管理
  • ポートフォリオメトリックス

リーン思考の構成概念やリーン/アジャイルリーダーを導入することで、ポートフォリオのすべてのレベルにリーン/アジャイルな思考を統合し植え付けることができる。

詳細

ポートフォリオビジョン

ポートフォリオビジョン は、SAFeの中で最上位のソリューション定義であり、ガバナンスである。ここで行われた意思決定により、ポートフォリオ全体の経済面が決まる。ポートフォリオビジョンは、いくつかの追加のSAFe構成要素で表される。これらを以下で定義する。

戦略テーマ は具体的な箇条書きのビジネス目標であり、これによって、進化するエンタープライズビジネス戦略にポートフォリオビジョンが結び付けられる。戦略的テーマは、ポートフォリオ内の意思決定のビジネスコンテキストとなり、価値のストリームやリリース列車への投資に影響を及ぼす。また、ポートフォリオバックログおよびプログラムバックログの入力にもなる。

価値のストリーム は、システムの定義、開発、配置という長期にわたる一連のステップであり、これによって、会社や顧客に対して継続的な価値のフローがもたらされる。価値のストリームの集合によって、ポートフォリオ内のプロダクトやサービスの目標が決まる。価値のストリームは、アジャイルリリース列車(ART)の構造の中で、人によって実現される。価値のストリームの中で価値を構築し納品するために多数(通常は10~15以上)のチームが必要な場合には、そのストリーム内で複数のアジャイルリリース列車が作成される。価値のストリームは、価値ストリームマッピングのリーンなツールを使用して行う系統だった分析や改善に役立つ。

予算 は、アジャイルリリース列車の人やその他のリソースの財源となる。パイの形の絵のそれぞれの「区画」は、特定のアジャイルリリース列車の予算を表す。一般に管理者は、その予算割り当ての範囲内で、プログラムにとって最も経済的かつビジネス的に妥当な方法で、フィーチャーを開発する権限を持つ。企業は、このプロセスにより、合意済みの優先順位の高いビジネスへの投資を推し進めることで、受託者責任を遂行する。プロジェクトを超えた原価計算というSAFeのリーンかつアジャイルな予算の考え方をすることで、適切な受託管理を伴った、権限のあるすばやい意思決定を行うことができる。1つの特別な予算枠は、ポートフォリオバックログ内のエピック用の準備金(すべての予算がアジャイルリリース列車に割り当てられている場合には処理能力の割り当て)となる。

エピックには、ポートフォリオ内の最大規模の取り組みを記録する。ビジネスエピックには機能エピックやユーザーエクスペリエンスエピックを、アーキテクチャーエピックにはシステムのフローを保つために行わなければならない技術的な変更を、それぞれ記述する

SAFeでは、2つのカンバンシステムを使ってポートフォリオバックログを管理することを提案している。ビジネスエピックのカンバンアーキテクチャーエピックのカンバンである(ただしこれらは1つのカンバンシステムにまとめることもできる)。これらのカンバンシステムにより、以下が可能になる。

  • 分析から実装までのエピックレベルの価値のフローを可視化する
  • 仕掛かり作業の数を制限してフローを確保する
  • 早期から開発チームと効果的に協調する
  • 経済面の意思決定のための定量的な根拠を提供する
  • 処理能力の割り当てに関する方針を明示する

どちらのカンバンシステムも5段階(じょうご、評価、分析、プログラムバックログ、実装)でワークフローを管理し、作業を可視化する。カンバンシステムを通って行くエピックに責任を持つのはエピックオーナーである。

ポートフォリオバックログ は、フレームワーク内の最上位のバックログであり、カンバンシステムを通り抜けて実装を待っているエピックの保管領域となる。ここには、市場での差別化や、効率的な運用、より良い統合ソリューションをポートフォリオが達成するために必要な、ビジネスエピックやアーキテクチャーエピックが、優先順位を付けて含められる。

プログラムポートフォリオ管理

プログラムポートフォリオ管理 (PPM) は、フレームワーク内の最上位の受託者(投資と利益)および内容の権限者(何を構築するか)を表す。ここで戦略と投資財源、プログラム管理、およびガバナンスに責任を持つのは、エンタープライズビジネス戦略と技術と財務上の制約を理解し、ポートフォリオプロダクト/ソリューション戦略を定義して実装する、ビジネス管理者および役員である。これらの人々は、通常、その責任を遂行する際にプロジェクトマネジメントオフィス(PMO)の協力を得る。PMOはプログラムの実行とガバナンスを導くという責任を共有する。

ポートフォリオメトリックス

アジャイルのプロセス、プラクティス、および作業プロダクトは本質的に測定可能であり、チーム、プログラム、ポートフォリオ、および企業全体の進捗を評価して改善するために使用できるメトリックスが多数存在する。SAFeでは、いくつものポートフォリオメトリックスおよびART(プログラムおよびチーム)メトリックスを提案している。

リーン

リーン 思考とは、顧客にとっての価値を最大化し、同時に無駄を最小化して市場投入までの時間を短縮するための、原則とプラクティスをまとめたものである。リーンの目的は、持続可能な範囲での最短の準備期間で、最大の価値を人や社会にもたらすことである。SAFeのリーン思考では、ゴールカイゼン(継続的な改善)プロダクト開発フロー人々への敬意リーン-アジャイルなリーダーという5つの要素を取り入れている。リーン思考は、アジャイルのプラクティスをエンタープライズレベルに拡大するには不可欠であり、SAFeの基礎となっている。

リーン-アジャイルなリーダー

企業を成功させる責任は、主に既存の管理者、リーダー、役員にある。SAFeのリーン-アジャイルなリーダーは、学習と指導を一生続ける人たちであり、リーン、システム思考、およびアジャイルソフトウェア開発の価値、原則、およびプラクティスを理解して示すことで、チームがよりよいソフトウェアシステムを構築する手助けをする。SAFeのリーン-アジャイルなリーダーは、システムを見渡しアジャイルソフトウェア開発宣言を受け入れプロダクト開発フローを実装し知識労働者に本来備わっているやる気を解放する


さらに知りたい場合

[1] Leffingwell, Dean.  Agile Software Requirements: Lean Requirements Practices for Teams, Programs, and the Portfolio. Addison-Wesley, 2011.(邦訳:アジャイルソフトウェア要求:チーム、プログラム、企業のためのリーンな要求プラクティス、翔泳社、2014)

Last update: 30 June, 2014

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